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D4Pメディア発信者集中講座2021

2021年夏、NPO法人Dialogue for Peopleは、若者世代(18~25歳)を対象に、「伝える」ことについて考えるイベント「D4P メディア発信者集中講座」(全4回)を開講しました。

私たちは、日々発信され続けるニュースを通じて、世界の「今」を知ることができます。また、SNSなど気軽なツールを使い、自分たちでも発信を行っています。ニュースは、政界や芸能界など、自分とは接点のない著名人の最新情報や、社会問題のリアルなど、私たちが世の中を知るためのひとつの重要な情報源です。一方で、報じられ方によっては、誰かが傷ついたり、心が苦しくなったりすることもあります。

誰もがメディアに触れ、そしてメディアになりえる今、「伝える」ことの意味や影響、可能性について改めて考える——社会課題に近い立場で、その背景や思いを「伝える」活動を続ける講師陣からの講義や、参加者同士の交流の時間を通じて、21名の受講者の方々とともに、学びを深める時間を過ごしました。

開催概要

日程 [1日目] 8月15日(日)10:00~16:15
[2日目] 8月22日(日)10:00~16:15
[3日目] 9月5日(日)10:00~16:15
[4日目] 9月19日(日)10:00~15:00
受講者 21名
会場 オンライン
※当初、都内会場で計画を進めていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、運営側で協議し、オンラインに振替えとなりました。
※1日目〜3日目の講義部分は受講者以外のみなさまにもオンライン視聴が可能なチケットを販売しました。(販売終了)

参加者の声

発信することが日に日に厳しくなる今の状況で、このイベントに参加できたことは発信を挫けず続けるための背骨になった。「難しい、つらい」と感じるのであれば、同じ志の人と連帯できる。知識や言葉を共有できる。そういった発見がある場所だった。(会社員)

同世代の方々とともに発信について学びを深めることができました。コロナ禍で人との繋がりが薄れつつありますが、講師の方々、発信について学びたいと同じ志を持って参加しているメンバーとの交流は私にとってこの夏1番の財産となりました。(学生)

4日間の講座を通して、『「伝える」ことは誰でもすぐにできるけれど、その奥はとても深い』と強く感じました。「隠れていた事実が認知されるようになる」というように、「伝える」ことの価値は大きいものであると言えます。だから私は今後も、ここでの学びや気づきを生かして、誰かに新しい気づきを与えられる存在になります。(会社員)

多様な視点からのインプットと、自分の考えのアウトプットと整理の場、そしてフィードバックまで!他の参加者の皆さんのお考えや「伝える」を見ることができたのもすごく良い体験でした。自分のノートや皆さんの作品を、たまに見直そうと思います。(学生)

D4P代表 佐藤慧 メッセージ

さまざまな情報を通じて、僕たちは世界を理解しようとします。それは文字や音声、映像や写真、その他の抽象的な表現であることもあります。インターネットやSNSの発達により、誰もが発信者となれるこの時代にあって、その発信の影響や役割を考えることは、今後より一層重要となっていくことでしょう。そうした発信は、何も情報の受け手のためだけにあるわけではありません。たとえば社会問題に関する報道は、多くの人がその問題の存在を知ることで、「解決しなければ」という思いを抱いたり、「こういった方法はどうだろう」と、知恵を持ち寄ったりするために欠かせません。一方でそうした報道は、その社会問題の当事者たちにも大きな影響を及ぼします。報道の角度が少し違うだけで、当事者たちに対する受け手の印象は変わります。時には、無自覚な偏見や偏狭な価値観を助長してしまい、問題解決とは反対の影響を及ぼすこともあります。被取材者が発信に「同意」したとしても、そうしたリスクの全てを把握・理解できていない場合もあります。単に情報を発信するという視点ではなく、大局的・構造的な視点を大切に発信を行うことこそ、これからの時代に必要なものではないでしょうか。今回の講座では、最新のメディア論や直接支援関係者の視点、現場取材の体験から学んだことなどに触れることで、そうした視座を相互に育んでいけたらと思っています。

 

登壇者プロフィール

荻上チキ(おぎうえ・ちき)
1981年兵庫県生まれ。評論家。メディア論を中心に、政治経済、社会問題、文化現象まで幅広く論じる。NPO法人「ストップいじめ!ナビ」代表理事。一般社団法人「社会調査支援機構チキラボ」所長。ラジオ番組「荻上チキ・Session」(TBSラジオ)メインパーソナリティ。「荻上チキ・Session-22」で、2015年度ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞、2016年度ギャラクシー賞大賞を受賞。著書に『未来を作る権利』(NHKブックス)、『災害支援手帖』(木楽舎)、『いじめを生む教室 子どもを守るために知っておきたいデータと知識』(PHP新書)など。


安田菜津紀(やすだ・なつき)
1987年神奈川県生まれ。NPO法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)所属フォトジャーナリスト。同団体の副代表。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。


清水康之(しみず・やすゆき)
NPO法人 自殺対策支援センター ライフリンク 代表
厚生労働大臣指定法人 いのち支える自殺対策推進センター(JSCP) 代表理事
一般社団法人 自殺対策全国民間ネットワーク 代表
超党派「自殺対策を推進する議員の会(議連)」アドバイザー

元NHK報道ディレクター。2001年、自殺で親を亡くした子どもたちを1年がかりで取材・制作した番組(クローズアップ現代)『お父さん、死なないで ~親が自殺 遺された子どもたち~』を放送。その後も、自死遺児や自殺で亡くなった人の遺書、自殺対策について取材を続けるが、推進役のいない日本の自殺対策に限界を感じ、自ら対策に取り組もうと2004年春にNHKを退局し、同年秋にNPO法人ライフリンクを設立。以来、日本の自殺対策を推進するために活動を続けている。


山本潤(やまもと・じゅん)
看護師・保健師。関東出身、13歳から20歳まで実父からの性暴力に遭い、様々なトラウマ症状に苦しむ。性被害に向き合い勉強を始め、2007年SANE(性暴力被害者支援看護師)研修修了、2010年杏林大学大学院看護学修士取得。性暴力被害支援者研修、一般市民対象の講演多数。被害経験と専門的知識を融合させたワークと講演は、納得ができ理解が深まると定評がある。2015年の刑法改正議論の際、法律家の「親子でも真摯な同意に基づく性的関係がないとは言えない」との発言に衝撃を受け、当事者の声を伝えようとロビイング活動やイベント開催、メディアでの発信を行う。2017年に日本初の被害当事者らを中心に法人化した一般社団法人Spring設立、刑法性犯罪改正を目指して活動中。2020年法務省「性犯罪に関する刑事法検討会」委員。著書『13歳「私」をなくした私 性暴力と生きることのリアル』(朝日新聞出版,2017)


伊藤詩織(いとう・しおり)
1989年生まれ。ジャーナリスト。BBC、アルジャジーラ、エコノミストなど、主に海外メディアで映像ニュースやドキュメンタリーを発信している。国際的メディアコンクールNew York Festivals 2018では制作したドキュメンタリー『Lonely Death』(CNA)と『Racing in Cocaine Valley』(Al Jazeera)が2部門で銀賞を受賞。性暴力被害についてのノンフィクション『Black Box』(文藝春秋社)は本屋大賞ノンフィクション部門にノミネートされる。第7回自由報道協会賞では大賞を受賞し、6ヶ国語/地域で翻訳される。2019年ニューズウィーク日本版の「世界が尊敬する日本人100」に選ばれる。2020年米TIME誌の世界で最も影響力のある100人に選出される。


佐藤慧(さとう・けい)
1982年岩手県生まれ。NPO法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)所属フォトジャーナリスト、ライター。同団体の代表。世界を変えるのはシステムではなく人間の精神的な成長であると信じ、紛争、貧困の問題、人間の思想とその可能性を追う。言葉と写真を駆使し、国籍−人種−宗教を超えて、人と人との心の繋がりを探求する。アフリカや中東、東ティモールなどを取材。東日本大震災以降、継続的に被災地の取材も行っている。著書に『しあわせの牛乳』(ポプラ社)、同書で第二回児童文芸ノンフィクション文学賞など受賞。東京都在住。


徳田太郎(とくだ・たろう):ファシリテーター
1972年、茨城県生まれ。法政大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学。修士(公共政策学)。
2003年より、「参加と熟議」をテーマに、市民活動や地域づくりの支援・促進を続ける。NPO法人日本ファシリテーション協会では、事務局長、会長、災害復興支援室長を経て、現在フェロー。その他、法政大学大学院・法政大学兼任講師、Be-Nature Schoolファシリテーション講座講師など。「いばらき原発県民投票の会」元共同代表。
著書に『ソーシャル・ファシリテーション:「ともに社会をつくる関係」を育む技法』(鈴木まり子との共著、北樹出版、2021年)、編著書に『いばらき原発県民投票:議会審議を検証する』(佐藤嘉幸との共編著、読書人、2021年)。

講演部分視聴チケット(販売終了)

本イベントの講演部分をご覧いただけるチケットを販売いたします。
[料金] 学生 500円 / 一般 2,000円 (それぞれ1講演あたり)
[会場] オンライン (YouTubeでのライブ配信機能を用います)

  • ※チケットの販売期限は講演ごとに異なりますのでご注意ください(各講演の1時間前まで)。
  • ※アーカイブ動画を配信から約1か月公開いたします。アーカイブ動画の視聴にもこちらのチケットの購入が必要となります。
  • ※オンライン配信は講演部分のみとなり、チャットを通じた質疑応答などはございません。

*2021/9/5 本イベントの視聴チケット販売は終了しました。