The Voice of Life―死と、生と
The Voice of Darkness :きらびやかなビル街の狭間、圧倒的な格差の中を生きるフィリピン、マニラの子どもたち。居場所を失った子どもたちが行きつく先は、路上、そして青少年鑑別所だった。今この国では、9歳の子どもたちまでを刑事罰の対象とし、収監によって路上から一掃しようという法律が成立する可能性がある。彼らが口々に訴える。「Can you save me?」(僕を救える?)
The Voice of Rebirth: イラク、そしてシリア北部に暮らす人々の多くが、“国を持たない最大の民族”と呼ばれるクルドの人々だ。この地はISからの奪還作戦をはじめ、数々の戦闘の爪痕を残すほか、家を追われたアラブの人々が身を寄せている。破壊された村で日常を取り戻そうとする人々が静かに問いかける。「戦争の悲劇を経た日本の人々なら、これがどれほど痛ましいことか分かるはずです」。
The Voice of Memory: 宮城県石巻市。2011年3月11日、津波警報が響く中、日和幼稚園の園バスは子どもたちを乗せ海側へと向かっていった。当時6歳だった佐藤愛梨さんは、このバスで犠牲となった。二歳年下の妹、珠莉さんに、母の美香さんはこう告げた。「愛梨はお星さまになったの」。珠莉さんはこぶしをぎゅっと握ったまま、下を向き、声をあげず大粒の涙を流したという。あれから、7年。
The Voice for HOME: 2011年3月、東日本大震災とほぼ時を同じくして、シリアは“戦場”と呼ばれるようになっていった。国内外で避難生活を送る人々は1100万人をこえた。異国で身を寄せる日々が長引くほど、故郷の姿を知らない子どもたちは増えていく。隣国で避難生活を送る父親が語る。「私たちを本当に苦しめてきたのは、これだけのことが起きながら、世界は私たちに関心を寄せていない、無視されている感覚なのです」。