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The Voice of Darkness :きらびやかなビル街の狭間、圧倒的な格差の中を生きるフィリピン、マニラの子どもたち。居場所を失った子どもたちが行きつく先は、路上、そして青少年鑑別所だった。今この国では、9歳の子どもたちまでを刑事罰の対象とし、収監によって路上から一掃しようという法律が成立する可能性がある。彼らが口々に訴える。「Can you save me?」(僕を救える?)

001:青少年鑑別所内部。「気がついたらここにいた」と13歳の少年。本来は重罪を犯した15歳以上の青年たちが収容される場所だ。
002:鑑別所内は一日を通して薄暗く、外の世界に触れられる機会は殆どない。
003:路上の子どもたちの手には常に、シンナーの袋が握られていた。「これしか嫌なこと忘れられるものがないんだから」と少年たち。
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005:延々と並ぶラッシュアワーの車列の隙間を、物乞いしながら少女たちは歩く。
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007:パヤタスで暮らすロレンスくん、12歳。父親はゴミを拾い稼ぎを得ているものの、アルコールにおぼれ、家を空ける日も少なくないという。
008:閉鎖されることが決まったゴミ集積場。それはゴミを拾い生計を立ててきた周辺の住人たちにとって、生活の糧を失うことを意味する。

The Voice of Rebirth: イラク、そしてシリア北部に暮らす人々の多くが、“国を持たない最大の民族”と呼ばれるクルドの人々だ。この地はISからの奪還作戦をはじめ、数々の戦闘の爪痕を残すほか、家を追われたアラブの人々が身を寄せている。破壊された村で日常を取り戻そうとする人々が静かに問いかける。「戦争の悲劇を経た日本の人々なら、これがどれほど痛ましいことか分かるはずです」。

009:空爆から身を隠す暗幕として煙を使おうと、ISの兵士たちが火を放っていった油田。住人たちの一部は、より治安の安定しているクルド人自治区に逃れた。
010:街が奪還された直後に、自爆攻撃をしかけてきたというIS兵士たちの車の残骸。
011:かつての学校も、ISによる占領やその後の戦闘を経て無人となっていた。
012:奪還作戦は多くの民間人を巻き添えにしていった。銃弾を頭部に受け、80キロ近い道のりを搬送されてきた9歳の少女。
013:息子さんが誘拐されたままだというフタイエムさん。「解放されてもまだ、ISに支配されている。誘拐されていった家族のことを毎日考えているんですから」。
014:少数宗教であるヤズディ教徒の人々が身を寄せる難民キャンプ。IS兵士たちは彼らを背後の山へと追い込んでいった。
015:ISの兵士たちが身を隠していた地下トンネル。入り口はモスクと民家につながっている。
016:難民キャンプで暮らすヤズディ教徒のジハーンさん、14歳。行方不明の兄の写真をペンダントにし、肌身離さず持ち歩いている。
017:つかの間の春。故郷を離れての暮らしを続けるヤズディ教徒の子どもたち。
018:ヤズディ教徒のナブラスさん、当時13歳。彼女はISに村が襲われる前から、がんを患っている少女だった。避難生活を送る家族に、自らがんの薬を手に入れる余力はない。この4日後に亡くなった。
019:生前のラブラスさんの写真を見つめながら、母親がつぶやく。「ナブラスはそれでも幸せだった。遺体さえ返ってこない人たちがたくさんいるんですから」。
020:ナブラスさんたちが身を寄せていた廃墟。ここでは同じ故郷から逃れてきた5家族が暮らしていた。
021:クルドの人々にとっての新年を祝うノウルーズ。「15年前の戦争がはじまったときは、お祝いどころではなかった」と、集った人々が口々に語る。

The Voice of Memory: 宮城県石巻市。2011年3月11日、津波警報が響く中、日和幼稚園の園バスは子どもたちを乗せ海側へと向かっていった。当時6歳だった佐藤愛梨さんは、このバスで犠牲となった。二歳年下の妹、珠莉さんに、母の美香さんはこう告げた。「愛梨はお星さまになったの」。珠莉さんはこぶしをぎゅっと握ったまま、下を向き、声をあげず大粒の涙を流したという。あれから、7年。

027:遺体の側にあった愛梨さんの上靴。津波だけではなく火災までもが、愛梨さんを襲った。
028:珠莉さんは今、小学校5年生。部屋にあふれる愛梨さんの写真に、毎日語りかける。「おはよう」「元気?」「会いたいよ」、と心の中で。

The Voice for HOME: 2011年3月、東日本大震災とほぼ時を同じくして、シリアは“戦場”と呼ばれるようになっていった。国内外で避難生活を送る人々は1100万人をこえた。異国で身を寄せる日々が長引くほど、故郷の姿を知らない子どもたちは増えていく。隣国で避難生活を送る父親が語る。「私たちを本当に苦しめてきたのは、これだけのことが起きながら、世界は私たちに関心を寄せていない、無視されている感覚なのです」。

029:隣国ヨルダンへと逃れたシリアの人々の難民キャンプ、ザータリ。砂地に並ぶテントやプレハブで、今も8万人近い人々が暮らす。
030:シリアの人々が身を寄せている隣国イラクのキャンプ。避難生活が長引くごとにここが生活の場となり、片隅には結婚式場まで作られた。
031:シリア、アレッポから逃れてきたヤーセルさん。息子のザッカリーヤくんと、1日5回のお祈りを欠かさない。
032:ヤーセルさん一家の暮らす街は避難者が集中し、深刻な水や電力不足が続く。この日も停電となり、小さな灯で一晩を過ごした。
033:ヤーセルさんの娘、16歳のマルワちゃんに赤ちゃんが生まれた。名前はサラちゃん。ようこそ、この世界へ。

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