Hope, inside Eyes―瞳に映る希望
20世紀は「戦争の世紀」だと形容された。その響きの中には、来る新世紀は戦争を克服した新時代がやってくる…という希望も込められていたように思う。今、世界を見渡してみて、どんな世界が広がっているだろうか。終わらない戦争、拡がり続ける格差、自然破壊…。ふとニュースに目を転じると、悲惨な現実ばかりが世界を覆っているように思えてしまう。しかし、実際にカメラを片手に現地を歩いてみると、必ずしもそんな厳しい現実ばかりが目に飛び込んでくるわけではない。中東諸国では、数千年にも渡って育まれてきた豊かな文化に触れ、アフリカ諸国では、日本の社会では失われつつある人々の繋がりや、他者への感謝を学んだ。凄惨な独立闘争を経た東ティモールの人々からは、平和の希少さと日常の愛おしさを、壊滅的な台風被害を受けたフィリピンの小さな島では、痛みを知っているが故の人々の優しさに包まれた。今、あらゆる技術や文化的交流により、急速にこの星はひとつの文化圏を形成しつつある。その過程には多くの摩擦もあるかもしれないが、それはまた、互いが互いの良い点を学び、切磋琢磨しながら未来を築く礎にもなるものだ。世界の様々な場所で出会ってきた人々の瞳の中に、僕はいつも希望の光を感じてきた。ひとつひとつは、小さな光の粒に過ぎないかもしれないが、それらが共に未来を目指す時、きっと素晴らしい世界が姿を現すに違いない。ともに歩む。同じ人間として。