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特集・戦後80年 終わらない「戦争」

東ティモールの海岸に残る日本軍のトーチカ跡。

1945年に日本が「終戦」を迎えてから、この夏で80年。しかし、アジア太平洋戦争による被害の傷痕は、今も国内外のさまざまな場所や人々に残り続けています。

いまだ多くの戦没者遺骨が眠る沖縄。戦時下の炭鉱事故で犠牲となった人々が眠る海――。

各地に残る「痛み」や「喪失」に向き合うことで、その記憶を継承し、より良い未来をつくるために。

Dialogue for People(D4P)が、沖縄・韓国など国内外で取材を行い、出会った方々の声を、2025年夏の特集としてお届けします。

「戦死をなぜ褒めたたえるのか?」―沖縄・糸満市で見つかった遺骨が問いかけるもの

(2025/5/15 安田菜津紀)

「遺骨には、戦死者には、人と会う権利がある。あなたが撮った写真の掲載されたものが、偶然、遺族の元に届くことだってあり得る。生まれた家のテレビに映されたり、その居間で新聞が開かれたりするかもしれない。写真を通してこの人が家に帰れるようにと、念じながら撮って下さい――」
2021年4月、沖縄戦の戦没者遺骨収集を続ける「ガマフヤー」代表、具志堅隆松さんの活動現場を初めて訪れたときのことだ。旧日本軍の壕から次々と掘り出される遺骨を前に、私がシャッターを切ることを躊躇していると、具志堅さんがこう、語りかけてきた。….


「炭鉱労働者たちは消耗品だった」―遺骨捜索続く長生炭鉱、韓国遺族会会長の思い

(2025/6/17 安田菜津紀)

薄曇りの空から、時折小雨がぱらつく日だった。春先とはいえ、海風はまだ、かすかな冷たさを宿している。海岸からは排気・排水筒である2本の「ピーヤ」が並んでいるのが見える。2025年4月、この日は山口県宇部市の長生炭鉱で、日韓のダイバーたちによる合同潜水調査が行われ、韓国から駆けつけた遺族たちも、固唾を呑んでその様子を見守った。….


「どちらにも国策ゆえの背景」――福島と沖縄、遺骨捜索が浮き彫りにする不条理

(2025/6/25 安田菜津紀)

蝉と鳥の声が絶えず響く山中は、梅雨明けとはいえ、ところどころ足元はぬかるみ、むせ返るような湿気がこもっていた。沖縄県糸満市束辺名(つかへな)グスク付近では、具志堅隆松さんをはじめ、遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」が活動を続けている。
ふと具志堅さんが、頭上に木々の生い茂る暗がりで足を止める。分かれ道を右に曲がれば、その上は集落の「拝所」だ。
「激戦地だった本島南部では、人の手が加わっていないところを1メートル四方でも掘ってみると、必ずと言っていいほど、戦争の痕跡、砲弾の破片などが出てきます」….


戦没者の尊厳を傷つけることはその人を二度殺すようなもの―沖縄南部戦没者遺骨土砂問題、何ひとつ答えない政府交渉【取材短報】

(2025/6/17 佐藤慧)

6月17日、参議院議員会館にて沖縄南部戦没者遺骨問題に関する政府交渉が行われた。主催する沖縄戦遺骨収集ボランティア・ガマフヤーの具志堅隆松さんは、遺骨の眠る土砂の一部を会場で広げ、米粒ほどの遺骨の破片を示しながら「遺骨の収容が済んだ土砂なら使用できるという人もいるが、このように細かな遺骨がいくらでも混じっている。すべてを収集することは不可能」だと語った。….


▼Dialogue for Peopleでは国内外にて戦争・紛争や日本の「加害の歴史」に関する取材を継続的に行ってきました。過去の記事もぜひご覧ください。

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