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取材レポート

2020.7.23

【最終報告書完成】ザンビアでの新型コロナウィルス対策緊急支援

安田 菜津紀 Natsuki Yasuda

安田 菜津紀Natsuki Yasuda

佐藤 慧 Kei Sato

佐藤 慧Kei Sato

田中 えり Eri Tanaka

田中 えりEri Tanaka

安田 菜津紀 Natsuki Yasuda

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佐藤 慧 Kei Sato

佐藤 慧Kei Sato

田中 えり Eri Tanaka

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安田 菜津紀 Natsuki Yasuda

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佐藤 慧 Kei Sato

佐藤 慧Kei Sato

田中 えり Eri Tanaka

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安田 菜津紀 Natsuki Yasuda

安田 菜津紀Natsuki Yasuda

佐藤 慧 Kei Sato

佐藤 慧Kei Sato

田中 えり Eri Tanaka

田中 えりEri Tanaka

2020.7.23

取材レポート #貧困・格差 #医療・ケア #アフリカ #佐藤慧

Dialogue for Peopleではザンビアでの新型コロナウィルス対策緊急支援事業を立ち上げ、クラウドファンディングによって多くの方々からのご支援・ご協力を頂戴し、現地NGO「Footprints Foundation for Children in Zambia」とともにザンビアの首都・ルサカの路上に暮らすストリートチルドレンへのマスク配布や、適切なマスクの管理方法、公衆衛生の基礎、感染症対策などを教えるワークショップの実施に取り組みました。


 

最終報告書(7/23更新)

活動の最終報告書が出来上がりました。ぜひご覧ください。
 

 


 

中間報告 (7/3更新)

活動の中間報告が出来上がりました。最終報告書は7月下旬までに作成予定です。なお、会計報告については最終報告書に一括して記載させていただきます。
 

 


 

現地活動報告 (7/2更新)

6月3日(水) マスクを受け取った人数:106人 ワークショップ参加者:99人

スタッフ5名がルサカ市中央郵便局近辺で活動。マスクを受け取ることができて、とても嬉しそうな子どもたち。新型コロナウイルスについて、何も知らない子どもたちもいる。同じマスクを2ヶ月間着用している子どもや、自分はウイルスに対する免疫があると思い込んでいる子どもも見受けられた。ソーシャルディスタンス確保への意識や、咳き込む時は袖を使うジェスチャーをしたりと、ワークショップの効果が見られている。

6月4日(木) マスクを受け取った人数:176人 ワークショップ参加者:162人

スタッフ5名がルサカ市レヴィ・ショッピングモール近辺で活動。

6月9日(火) マスクを受け取った人数:206人 ワークショップ参加者:192人

スタッフ5名がルサカ市ニパ・カンファレンスセンター近辺で活動。手指消毒剤とマスクを洗うための石鹸を求めている子どもたちがいる。ウイルスの感染拡大防止について質問をしている子もいれば、自分は免疫があると思い込んでいる子どもたちもいる。

6月10日(水) マスクを受け取った人数:356人 ワークショップ参加者:305

スタッフ5名がルサカ市シティマーケット内ハングリーライオン(ファストフードショップ)近辺で活動。マスクを自慢げに見せる子どもたちがいる。地域の人々もストリートチルドレンが感染症対策を行なっていることに感謝している。

(Footprintsスタッフより)

※ 現地からの報告は逐次更新していきます。

黄色いピンは活動を行った場所です。
 


 

クラウドファンディング達成のご報告 (5/28更新)

おかげさまで、本プロジェクトのクラウドファンディングは無事目標額を達成致しました!みなさま本当にありがとうございます!必要とされている支援とはいえ、おそらくほとんどの方が渡航したこともないザンビアという国の出来事に、どれだけ関心を寄せて頂けるか、不安な気持ちもありながらのスタートでしたが、そんな懸念など吹き飛ばすみなさまのご支援にたくさんの勇気を頂きました。

達成額:375,800円
支援者数:61人

現地では既にマスクの発注が終わり、完成したものから順次、子どもたちに配布、ワークショップを行っていきます。現地支援団体代表のヴァスコ氏も、遠く離れた日本のみなさまの支援に感激しています。現地での活動報告を通して、是非みなさんにもそこにいる子どもたちを身近に感じて頂けましたら嬉しいです。活動報告はこちらのページで順次アップデートしていきます。COVID-19の災禍が一刻も早く収束することを心より願っております。
 


 

プロジェクト実施の経緯

新型コロナウイルス(COVID-19)は未だに世界中で猛威を振るい続けており、アフリカ南部のザンビア共和国では、5月に入り急速に感染が拡大しています。政府は外出時にマスクの着用を要請していますが、市場に出回るマスクは高騰しており、誰もが買えるわけではありません。マスクを着用していない市民が暴行を受けるといった事件も起きています。

そんな状況下で、もっとも脆弱な立場に置かれている人々が路上で暮らす子どもたち、「ストリートチルドレン」です。支援活動を続ける現地NGO、「Footprints Foundation for Children in Zambia」は、そういった子どもたちへのマスク配布、そしてマスクを清潔に保つための講習や、感染症対策を学ぶワークショップを実施する準備を進めていますが、公的支援も期待できず、十分な事業費がないことが課題でした。そのため、Dialogue for Peopleと協働し、日本でのクラウドファンディングを行い、無事目標額を達成致しました。

Dialogue for Peopleは情報発信、次世代発信者の育成を主な事業としているメディアNPOです。しかしそういった活動に留まらず、緊急時には取材活動を通して頂いてきた繋がりを活かし、現地協力団体などと密に連絡を取り合いながら、ニーズに合わせた支援を届けるとともに、支援活動から見えてきた現地の状況を、改めて日本や世界に発信するということにも重要な意味があると思っています。こうした支援を通じ、境界線を越えた支え合いの関係性を築くことが、本質的な紛争解決、差別や格差の克服に繋がると信じ、活動を行っていきます。

①マスクの配布 ②公衆衛生ワークショップの開催 ③就労機会の提供

ザンビアのストリートチルドレンにマスクの配布、適切な講習を

マスクを買えないストリートチルドレンたちが、様々な脅威に晒されている

●飛沫感染のリスク

飛沫に含まれるウイルスから感染が拡大する恐れがあり、ソーシャルディスタンスの確保が世界的に呼びかけられています。しかし、身を守るために密集して暮らす子どもたちは、物理的に距離を取ることが難しく、また、路上でタバコや電話カードなどを売ったり、物乞いで命を繋いでいるため、日々混み合ったマーケットに出ていかざるを得ません。

●偏見のリスク

感染への恐れから、マスクを装着していない人々に対する偏見が強まっています。マスクを持っていない子どもたちは、これまで以上に人々から避けられ、仕事も得られず、支援や施しも受けにくい状態になっています。

●暴行のリスク

ザンビア政府は、公共の場でのマスクの着用を要請していますが、マスクの配布や公的支援があるわけではありません。マスクを着用していない人々が警察に逮捕されたり、人々に暴力を受けるといった事例も起きています。

このようなリスクに晒されている子どもたちが、ザンビアの首都ルサカの路上に約1,000人暮らしています。ストリートチルドレン支援を行う現地NGO、「フットプリンツ・ファウンデーション・フォー・チルドレン・ザンビア/Footprints Foundation for Children in Zambia(以下・フットプリンツ)」と協働し、手作りのマスクを購入、子どもたちに配布すると共に、医師の監修を受けたワークショップを行い、適切なマスクの管理方法、公衆衛生の基礎、感染症対策などを教えます。

マスクを制作するのは『CAROLINE DESIGNS』という会社で、パートナーを失った女性たちにより運営されています。現在、マスク制作事業を立ち上げ、COVID-19により職を失った人々を雇用することで支援を行っています。衛生用品の需要の高まりに伴い、一般のマーケットで購入できる洗濯可能なマスクの価格は急上昇し、現在では1枚600円近くと、ザンビアの平均的な日収(GNI換算で約400円、実際には半数以上が200円以下)を上回る値段となっています。『CAROLINE DESIGNS』では、ザンビアの伝統的な布、チテンゲを用い、1枚約90円でマスクを販売しています。

CAROLINE DESIGNSでマスク作りを教わる男性

 

プロジェクト費用内訳

・マスク購入費:  90,000円
・車両燃料費(ガソリン代): 18,000円
・現地パートナー団体事業運営費(配布・WS制作費ほか): 125,000円
・D4P事業運営費(現地とのコーディネート・翻訳・発信): 80,000円
・その他諸経費(送金・振込等各種手数料ほか): 37,000円

合計 350,000 


※ おかげさまでクラウドファンディングを通じ、無事目標額を達成いたしました。

活動予定

5月下旬 プロジェクト開始
6月上旬 マスク発注
6月中旬~7月中旬 マスクの配布、ワークショップの実施
7月下旬以降 フットプリンツは通常業務内でその後のフォローアップを継続
9月下旬 プロジェクト終了報告書の作成

 

①マスクの配布 ②公衆衛生ワークショップの開催 ③就労機会の提供

 

フットプリンツ代表、Sevelino Vasco氏のメッセージ

高架下で暮らす子どもたちの様子を見て回るヴァスコ氏

5月に入り、新型コロナウイルスの新規感染者が急激に増えています。政府は人々に、公共の場でのマスクの着用を要請していますが、一般市場で売られているマスクは高騰し、多くの人は購入することすらできません。マスクを装着していない人が逮捕されたり、人々に暴力を振るわれたりするという事例も起きています。日頃から差別的な目で見られているストリートチルドレンたちは、この社会状況の中で、「ウイルスを拡散する連中」だという偏見にも晒されています。私たちの団体は、子どもたちが居場所や仕事を見つけられるように支援を行っていますが、このCOVID-19を乗り越えなければ、そうした活動を継続することもできません。日本のみなさまの温かい支援に感激しています。

Footprints Foundation for Children in Zambia

2014年に現代表・Sevelino Vasco(セヴェリノ・ヴァスコ)氏を中心に設立されたNGO。ヴァスコ氏自身、ストリートチルドレンとして過酷な少年期を過ごしており、そういった子どもたちが教育の機会や、温かな居場所を見つけられるように支援しています。首都ルサカには、12のゾーンに分かれて、1,000人近くのストリートチルドレンがいると見られていますが、その全ゾーンを日々自らの足で歩き、子どもたちの状況を確認、毎日の食事を配っています。また、「セーフパック」と呼ばれるワークショップ(HIV対策、生活技術など)を定期的に行っており、子どもたちが未来を描けるよう教育の機会を提供しています。

Website https://www.footprints.org.uk/

 

ザンビア共和国ってどんなところ?
ザンビア共和国は、アフリカ大陸南部に位置する国です。日本の約2倍の国土に、1,700万人ほどの人々が暮らしています。主要な産業は鉱業(銅・コバルト等)と農業(トウモロコシ・タバコ・綿花。大豆)と観光です。ジンバブウェとの境にある世界三大瀑布のひとつ、ヴィクトリアフォールズの壮大な景色は、ここでしか見られません。世界有数の銅鉱山から採掘された銅は、日本でも硬貨や電線に使用されています。広大な自然を有する国立公園では、ビッグファイブと呼ばれる動物たち(バッファロー・ライオン・ヒョウ・象・サイ)を身近に観ることができます。

幅2キロメートル、落差108メートルのビクトリアフォールズ

政治的には安定していますが財政赤字が続いており、国民の平均年収は約15万円、貧困ライン(1日1.9USドル)以下で暮らす人々が国民の半数以上に上ります。HIVやマラリアといった感染症によるリスクも高く、HIV感染率は成人の11/3%(※1)、マラリアは年間200万件以上(※2)の感染が報告されています。免疫力の低い人々に対する新型コロナウイルス感染の危険性も懸念されており、更なる警戒が求められています。

(※1)HIV感染率は成人の11.3%
https://www.avert.org/professionals/hiv-around-world/sub-saharan-africa/zambia
(※2)マラリア年間200万件以上
https://www.nmec.org.zm/malaria-overivew

ザンビアでの新型コロナウイルス感染状況 (6/16 update)
ザンビアでの感染拡大はまだ続いています。現時点で1416件の感染が確認されており、11人が亡くなりました。経済的な影響も大きく、ナイトクラブやバーの再開を求める声も上がっていますが、ルング大統領は新規感染者が増え続けている状況を鑑み、引き続き営業の自粛を要請しています。そうした経済活動の再開にあたっては、社会・経済状況、人々の健康状態などに基づき判断するとのことです。また6月16日には、野党・国家開発統一党(UNPD)のカコマ氏が、与党・愛国戦線(PF)が感染拡大を早めていると非難しました。実際、PFメンバーのルサンボ氏は先週末、支持者のタクシー運転手400人を集め、緊急支援としてK400,000(約235万円)を寄付しました。与党が策定した、ソーシャルディスタンスを保つなどといった感染拡大防止のルールを自ら破っていることで、政治面で緊張が走っています。

私たちがこの緊急支援プロジェクトを行う理由
Dialogue for Peopleは「境界線を越えた平和な世界を築く」きっかけとなる情報発信、次世代の育成を主な事業としているメディアNPOです。しかし、緊急時には取材活動を通して頂いてきた繋がりを活かし、現地協力団体などと密に連絡を取り合いながら、ニーズに合わせた支援を届けるとともに、支援活動から見えてきた現地の状況を、改めて国内外に発信する活動にも取り組んでいます。脆弱な立場に置かれている人々は、本来国境や人種などにかかわらず、社会的サポートを受ける権利があります。彼らを脆弱な立場に追い込んでいるものは、私たちが暮らすこの社会そのものでもあるからです。こうした支援を通じ、境界線を越えた支え合いの関係性を築くことが、本質的な紛争解決、差別や格差の克服に繋がると信じ、活動を行っていきます。

①マスクの配布 ②公衆衛生ワークショップの開催 ③就労機会の提供

 

※マスクの効果について
マスクの着用が感染症対策に有効かどうかについては、今もって明確な科学的根拠は判明していません。しかし感染拡大の続くアメリカの米疾病対策センターは4月上旬、新型コロナウイルス対策でマスクは不要という従来の見解を修正し、着用を勧める方針を打ち出しました。ウイルスに感染し、症状が出ていない段階の人々が、飛沫などによる他者への感染を広げる可能性があるというのがその理由です。ただ、あくまでもマスクの効果は、必要なソーシャルディスタンスを取ることができない場合の「追加予防策」として捉え、基本的な予防対策(適切な距離を取る、20秒間手を洗う、洗っていない手で目、鼻、口に触れない、など)を徹底することが感染対策の基本であるとしています。今回のプロジェクトによるマスク配布は、そういった効果の他にも、「マスクの着用をしていない人への社会的偏見」や「公共の場でのマスクの着用を義務付ける政府の要請を守れず、警察により逮捕、暴行を受ける」といった危険性から子どもたちを守るという意味もあります。路上で暮らす子どもたちは、路上でタバコや電話カードを売ったり、通行の多い大通りで車を洗車したり、あるいは数多くの人に物乞いをすることなどで生計を立てています。現在、多くの人が感染を恐れているため、マスクを着用していない子どもたちは、そもそも人に近づくことができず、そういった仕事を行うこともできません、また、夜寝るときは、様々な危険から身を守るため、数十人のグループで固まって寝ます。そういった子どもたちの中での感染拡大を少しでも遅らせるためにも、マスクの着用が推奨されています。

(参照)米疾病管理予防センター(CDC)
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/cloth-face-cover.html

2020.7.23

取材レポート #貧困・格差 #医療・ケア #アフリカ #佐藤慧