荻上チキ氏解説「パパゲーノ効果」/Chiki’s Talk_018
(荻上チキ)Chiki’s Talk_018_パパゲーノ効果
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(荻上チキ)Chiki’s Talk
評論家荻上チキ氏が、様々な社会問題を取り上げ、独自の視点で分析し、分かりやすく解説します。
【今回のテーマ】
パパゲーノ効果
以前解説した「ウェルテル効果」は、安易な自殺報道などにより希死念慮の連鎖が起きてしまうというものでしたが、その反対の概念となるのが「パパゲーノ効果」です。モーツァルトのオペラ『魔笛』に出てくるキャラクター「パパゲーノ」は、大事な人を亡くし自らも命を絶とうしましたが、思いとどまりました。このように、希死念慮を抱えながらも、実際には思いとどまる人も沢山います。そうした自殺以外の選択肢のある社会を築いていくためには、当事者だけではなく、周囲やメディアの役割も重要です。様々な情報が飛び交う現在、その情報を拡散させる意味、役割についても考えていきます。
※希死念慮…死にたいと願う気持ち
◆「自殺報道ガイドライン」要約
—すべきこと—
・事実の公表に際しては、保健専門家と密接に連動すること。
・自殺は「既遂」と言及すること。「成功」とは言わない。
・直接関係のあるデータのみ取り上げ、それを第1面ではなく中ほどのページの中でとりあげること。
・自殺以外の問題解決のための選択肢を強調すること。
・支援組織の連絡先や地域の社会資源について情報提供をすること。
・危険を示す指標と警告信号を公表すること。
—してはいけないこと—
・写真や遺書を公表しないこと。
・使われた自殺手段の特異的で詳細な部分については報道をしないこと。
・自殺に単純な理由を付与しないこと。
・自殺を美化したり、扇情的に取り上げたりしないこと。
・宗教的、あるいは文化的な固定観念をステレオタイプに用いないこと。
・責任の所在を割り付けたりしないこと。
出演:荻上チキ
撮影・編集:Dialogue for People
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