互いを尊重し平和に暮らせるよう―第6回 難民・移民フェス

2025年5月10日、第6回目となる「難民・移民フェス」が東京都練馬区の平成つつじ公園で開催されました。2022年6月から続くこのフェスでは、物販やワークショップ、ステージでのトークなどを通じ、難民や移民の人々が社会とつながる機会を築くとともに、来場者がその背景を知る場を作り上げてきました。
今回もガーナ、ミャンマー、チリ、クルドなどの食べ物や小物がブースに並び、ステージではソーシャルワーカーとして生活困窮者支援に奔走する大澤優真さんが、難民として日本に逃れてきた人々、在留資格を失い、「仮放免」という不安定な状況での生活を余儀なくされている人々の現状を語りました。
最後のプログラムでは、川崎・桜本から在日コリアンのハルモニたち(おばあさんたち)が歌や踊りを披露しました。94歳のハルモニは、マイクを手に、こう語りかけました。
「ここには命の危険から逃れてきた人たちがいますね。でも日本は、“安住の地”ではありません。ヘイトスピーチがあって、生きるのが苦しいでしょう。かつて私たちも植民地時代に日本に来ましたが、民族差別やいじめに泣いてきたので、みなさんの気持ちはよく分かります。平等で互いを尊重し平和に暮らすことを望みます」
ステージから降りたハルモニたちを囲み、フィナーレは参加者みなで「トラヂ音頭」を踊り、多様な年代やルーツの人々が輪に加わりました。
ハルモニが語るように、差別の問題は根深くこの社会に残ります。けれども主催者の金井真紀さんが語る「いつか来る理想的な社会を、少しだけ先取り」した場を重ねることで、その「理想」に一歩ずつ、近づいていけるのではないでしょうか。

難民・移民フェスのステージと旗。(安田菜津紀撮影)
Writerこの記事を書いたのは
Writer

フォトジャーナリスト安田菜津紀Natsuki Yasuda
1987年神奈川県生まれ。認定NPO法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)フォトジャーナリスト。同団体の副代表。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『国籍と遺書、兄への手紙 ルーツを巡る旅の先に』(ヘウレーカ)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。
本記事の取材・執筆や、本サイトに掲載している国内外の取材、記事や動画の発信などの活動は、みなさまからのご寄付に支えられています。
これからも、世界の「無関心」を「関心」に変えるために、Dialogue for Peopleの活動をご支援ください。
寄付で支えるD4Pメールマガジン登録者募集中!
新着コンテンツやイベント情報、メルマガ限定の取材ルポなどをお届けしています。