2011年3月、東日本大震災は日本が災害大国であることを改めて突き付けました。
あれから10年以上経ちますが、東北の被災地ではいまだに大規模な復旧工事が続いています。仮設住宅暮らしから抜けられない人々もいれば、津波によって攫われた大切な人の遺骨を探し続ける人もいます。
各地で頻発する災害や、都市部での大規模な開発工事の影響もあり、資材の高騰、人材の不足などにより、復興計画は大幅に遅れています。時間が経つごとに、興味関心が薄れ、報道が減っていくことは仕方のないことかもしれません。
しかし、自然災害により大切なものを失った人々から、こんな言葉を頂いてきました。
「被災地のことは忘れてもいい。でも、そこから得た教訓だけは伝え続けてほしい」と。
年に何度も自然災害に襲われる日本では、次から次へと新たなニュースが流れては遠のいて行きます。「自分だけは大丈夫だと思った」と、自責の念のこもった被災者の言葉を耳にするとき、それを単に過去への後悔とせず、未来の命を救うための教訓にしていくことが、今を生きている私たちの務めなのではないかと思います。