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Feature特集

2021年夏特集「この社会は本当に『戦後』を迎えたのか?」

白梅之塔上の壕碑。沖縄戦当時軍の物資置場だったが、白梅学徒看護隊の仮眠所でもあった。1945年6月22日、米軍の攻撃を受け、軍人・白梅隊員及び一般住民が死傷した。下の壕碑から少し離れたところにあるこちらの碑には人影も見えず、静謐な空気に包まれていた。

1945年の8月から、今年で76年という月日が経ちます。戦時下の記憶を語り継ぐ人も年々少なくなり、それが単に歴史教科書上の記録ではなく、実際に生身の人々の日常に降りかかった出来事であったということが、どこか遠のいてはいないでしょうか。

敗戦後日本は、平和憲法を持つ民主主義国家として再出発したはずでしたが、現状はどうでしょう。
聞こえのいい大義で加害行為を糊塗し、「国」や「権力」に個々人の尊厳が傷つけられ、大切なものが奪われていくという構造は、今も様々な社会問題の背景に見え隠れしています。戦争の災禍を二度と繰り返さないためには、過ちから学び、一人ひとりの悲しみや痛みに寄り添うことが不可欠です。過去から続く歪みを丁寧に解きほぐしていった先にこそ、この社会は本当の「戦後」を迎えることができるのではないでしょうか。

Dialogue for Peopleではこの8月、そんな「戦後」について考えるきっかけとなる発信を行っていきます。


2021年夏特集
「この社会は本当に『戦後』を迎えたのか?」

2021年夏、NPO法人Dialogue for Peopleでは「この社会は本当に『戦後』を迎えたのか?」をテーマに、いまもなお様々な問題が残るこの社会の「戦後」について考えるきっかけとなる情報を発信し、みなさまと共有するとともに、広くご支援、ご寄付を募集します。

特集期間中は、テーマに関連した取材レポートやインタビュー記事、YouTubeでの解説動画やラジオ型のトーク番組など、さまざまな形で発信を続けて参ります。今だからこそ、改めてお伝えしたい過去の記事も掲載しておりますので、ぜひご覧ください。

特集記事・コンテンツ

公開記事・動画

■8月3日公開
「今も続いていること」としての戦争――沖縄から考える「戦後76年」の意味

「76年前」「沖縄”の”問題」と切り離さず、今に続く問題として戦争を考えるために「戦後世代」ができることは何か。自らの役割を見つめ活動する大学生2人の思い。

■8月4日配信
アウシュビッツ博物館ガイド・中谷剛さんと考える「アウシュビッツからホロコーストを考える」

■8月5日公開
被爆と出自、70年近く隠し続けた。今なぜ、自身の名で被爆体験を語るのか。

朝鮮半島出身者の苦しみが、この社会で伝わっていない――
在日コリアンや被爆者であることを理由に、差別を受けてきた李鐘根(イ・ジョングン)さん。やっと本名を名乗ることができたのは、80歳を過ぎてから。そこに至るまでの道のりや、原爆に対する思いとは。

■8月11日配信
「KNOW NUKES TOKYO」共同代表 中村涼香さん、高橋悠太さん 「広島、長崎の記憶を未来につなぐ」

世界には約1万3000発の核兵器が存在するといわれます。2021年1月22日発効となった「核兵器禁止条約」、しかし核保有国は同条約の批准を拒んでおり、米国の「核の傘」に頼る日本もそうした国のひとつ。核兵器廃絶、被爆者の記憶・体験を未来につなぐための活動を行っている「KNOW NUKES TOKYO」共同代表の中村涼香さん、高橋悠太さんと考えていきます。

■8月13日公開
荻上チキさん解説「戦争とシステム正当化」(Chiki’s Talk)

実は誰もが潜在的にもっているとされている、この社会を「正当化したい」という気持ち。正しいと信じることで、そこで生きる自分を肯定し、安心感を得ようとすることを『システム正当化』と言います。戦争をも肯定しかねない、人々が抱く感情とは?

■8月24日公開
美術展『止まった時代の主人公たち ~1945×2021~』――戦没画学生慰霊美術館「無言館」で、今を生きる自分たちの声を紡ぐ

戦没画学生の遺作・遺品を収蔵する美術館「無言館」館長の窪島誠一郎さんと、同館にて美術展を開催中の「コエテコエ」代表・下村えりかさん。無言館に作品が所蔵される戦時下の画学生たち、そして現在コロナ禍で制作を続ける若手作家。その対話から生み出されるものとは——

■8月27日公開
【取材報告】山口県宇部市『加害の歴史と向き合う』-戦時の増産体制の歪み 183名の命を奪った長生炭鉱“水非常” _Voice of People_Vol.10

かつてこの海底に存在した「長生炭鉱」は、戦時下の増産体制を背景に、多くの労働者を朝鮮半島から強制的に動員しました。そして1942年2月、かねてから懸念されていた落盤事故が発生、183名の鉱夫が命を落としました。そのうちの136名は朝鮮半島出身者だったといいます。「戦後」という言葉で時代を区切り過去を忘却するのではなく、そこにあった「加害行為」と正面から向き合うこと。それが本当の「戦後」を築くために必要なことなのではないでしょうか。

■8月28日公開
【エッセイ】「戦争」を考えるためのオススメ書籍

ひとくちに「戦争」と言っても、その中身をどう捉えるかはそれぞれの時代や立ち位置によって様々に異なるもの。「戦争とは何か」という唯一絶対の答えがない問いを、色々な人の視点・経験から掘り下げるために、 安田菜津紀・佐藤慧がオススメの書籍をご紹介します。

■8月30日公開
【インタビュー】戦後日本はどのような「人権」を育んできたのか?――「意識が変わらない限り社会は変わらない」(ヒューライツ大阪 三輪敦子さんインタビュー)

ジェンダー差別や外国人差別、障がい者差別、ヘイトクライム…「戦後」とされる時代の変遷の中、経済成長の一方で世界基準とは言い難い、日本の「人権」分野。山積する課題や問題点、そもそも人権とは何か?

          

あわせて観たい・読みたい

Dialogue for Peopleの過去の記事・映像から、テーマにあったものをご紹介します。

● 沖縄から考える「戦後76年の意味」

● ホロコーストを考える-中谷さんインタビュー

● 核兵器のない世界を目指して-関連レポート

          

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「この社会は本当に『戦後』を迎えたのか?」

Dialogue for Peopleの取材、情報発信の活動は、皆さまからのご寄付によって成り立っています。2021年夏は「この社会は本当に『戦後』を迎えたのか?」と題し、戦争の災禍を二度と繰り返さないため、さまざまな社会問題を見つめ直すきっかけとなる記事や映像の特集を展開中です。一人一人の声を「伝える」ことから「共感」を育み、「対話」を生み出すこの取り組みを支えるため、あたたかなご支援・ご協力をよろしくお願いします。

また、8月は「チャリボン」を通じた、読み終えた本などによるご寄付について、買取UPキャンペーンを実施中。期間中のお申し込みで、お送りいただいた古本などの買取査定額が、+10%されてDialogue for Peopleに寄付されます!こちらもぜひご参加ください。

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