【イベントレポート】「人権と平和の現在地~2022年の事業/取材活動から~ ~D4P Report vol.4 年末活動報告会」(2022.12.18)
12月18日(日)、「人権と平和の現在地~2022年の事業/取材活動から~ ~D4P Report vol.4 年末活動報告会」をYouTubeLiveにて配信しました。コロナウイルスの蔓延により海外渡航が難しかった時期を乗り越え、久しぶりに行うことができた海外取材をはじめ、国内外の『人権』や『平和』に関するさまざまな問題に焦点を当てながら、D4Pの活動についてお伝え致しました。また最後には、今後の展望として2023年の活動についてもお話しさせていただきました。
さまざまな媒体を通した発信事業
2023年、D4Pでは、50本のWEB記事投稿、32本のYouTube取材動画投稿、そして47回のRadio Dialogue発信を行いました。特にRadio Dialogueは力を入れて作成し、リスナーさんのご支援とともに、近日90回目の放送を迎えることとなります。いつも支えてくださる皆様、本当にありがとうございます。
「その場所や記憶を残していくことにも知恵を割くべき」と安田が語るのは、YouTubeの取材動画「Voice of People」で訪れた福島県大熊町での取材について。東日本大震災の被災地への取材も継続的に行うD4Pは、今年も記憶を「残す」ためにさまざまな人に会いに行きました。
WEB発信以外にも、他団体との連携やテレビ出演、PodCastなどを活用し、さまざまな媒体を通して発信活動を精力的に行ってまいりました。また、今年2月にロシア侵攻を受けたウクライナでの取材を下に、戦時下に最も脆弱な状況に置かれる民族的・静的マイノリティの方々について一面に掲載したフリーマガジンVoice of Life。日本に暮らす外国籍・外国ルーツの方の人権問題に焦点を当てた安田菜津紀の著書。そして今年から新たなコンセプト「あなたとわたしをつなぐ窓」をテーマに作成したフォトカレンダーの販売も行い、紙媒体を通しても国内外の多様な問題に焦点を当ててまいりました。
若手発信者発掘育成事業に関わるイベントの開催
2022年は、D4Pとして二つのイベントを開催いたしました。
3月に行った東北オンラインスタディツアーには、全国の中・高・大学生42名が参加。オンラインに切り替えたことによって、実際に足を運ぶことが難しい方も参加いただけました。大きな被害を受けた大川小学校からZoomを繋いで参加してくださった講演者の佐藤 俊郎さんがイベント内で仰った「ここは悲しい場所に見えるかもしれないけれど、震災前は桜が咲き、生徒たちの笑い声が響いていた場所だったんですよ」という問いかけに、ハッとさせられたと安田は語ります。
また、8月に開催した【若手発信者育成事業】D4Pメディア発信者集中講座 は、作品発表も含めた3日間のプログラムとなり、23名の方に参加していただきました。参加者同士のシェアリングタイムや、作品の発表を通して、個々人の「ハッ」という気づきが引き出せたイベントとなったと、安田は語ります。
国内における取材事業
本年も、D4Pとして継続的に取り組んでいる取材を続けることができました。その中でもD4Pが継続的に焦点を当て続けるヘイトクライムに関しては、昨年8月に発生したウトロ地区での放火事件に対する判決が下されたり、副代表安田に対する差別的発言を提訴した裁判が進行するなど、悲しいことに2022年現在でも報道すべき課題が多く残っています。加害の歴史に向き合うことは勇気のいることですが、佐藤が紹介した「君たちに戦争責任はない。でも、それを繰り返さない責任はある。」という言葉を胸に、2023年も発信を続けて参りたいと思います。
国外における取材事業
新型コロナウイルスにより海外への取材が難しかった期間を乗り越え、今年6月、ようやく国外での取材を再開することができました。今年2月に発生したウクライナ侵攻の被害を受けた街やその周辺国を訪れ、「爆撃が轟かない、平和な空」を切に望む人たちの声を聞きました。戦時下で一層脆弱な状況に置かれるマイノリティ「ロマ」の人々への取材も行い、緊急時こそますます弱い立場に追いやられてしまう過酷な現状について目の当たりにしました。
ウクライナ侵攻による被害が報道される中、他の地域での深刻な人道危機も忘れてはなりません。取材で訪れたシリア北東部では、40度を超える灼熱の中、国内避難民が避難生活を行なっていました。「なぜ私たちはウクライナほど関心を集めないのでしょうか」、シリアでの人道危機に目を向け続け、その輪を広げていくため、D4Pは2023年も発信し続けます。
更に、ルーツを探す旅の一環で韓国を訪れ、弊会副代表の安田の親族と繋がることができました。今後も、朝鮮半島の歴史や、在日コリアンが置かれた状況について焦点を当て続けていきたいと思います。
来年の活動について
報告会の最後には、来年の活動についてもお話しいたしました。報告会内でも紹介された若手発信者育成事業の一つである東北オンラインスタディツアーは、2023年3月4日開催に向けて準備中です。また、メディア発信者集中講座も第三回開催に向けて計画を進めております。
イベントのみならず、国内・国外の取材も精力的に続けて参ります。「NEWSって、NEWという言葉がついているので、どうしても新しく起きたことが中心になっていく。それ故、まだそこで避難生活を送っている人がいたり、故郷に帰れないでいたりなど、深刻になっていく問題でもNEWでなければ焦点が当たりません。だからこそ、大事な問題だけれど置き去りにされている問題に対する取材を展開していきたいです。」と安田は語ります。また佐藤は、「こうした取材を報告するという意味でも、Radio Dialogueや書籍、フリーマガジンにも触れていただきたい」と今後の展望を語りました。
「こうした継続取材ができたのも、皆様のおかげだと思っております。今後も継続して応援してくださると大変ありがたく思います。」(安田)
2022年、様々な地域の様々な問題に焦点をあて、発信を続けられたのは、皆様の暖かいご支援があったからです。本当にありがとうございます。今回はオンラインでの配信となりましたが、オンラインだからこそ遠方の方も足を運びやすかったり、アーカイブ機能が活用できたりと、利点も多くあることに気づかされました。これからも、その情勢や目的にあった方法で、皆様と繋がれる機会を持ち続けていけたら幸いです。
これからもDialogue for Peopleは、社会課題の渦中にいる人の声を伝え、問題解決につなげるため、発信を続けて参ります。今後ともどうぞ、よろしくお願いいたします。
ご視聴頂いたみなさま、誠にありがとうございました。
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