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母子不当聴取裁判、控訴審が開始

date2024.11.15

writer安田菜津紀

category取材短報

11月14日、警察官による母子への不当聴取と個人情報漏洩を巡る控訴審、第一回口頭弁論が東京高裁で開かれました。訴状などによると、原告である南アジア出身の女性Aさんと当時3歳だった娘さんは、公園で突然、差別言動を繰り返す男に大声で詰め寄られたといいます。ところが警官は、男ではなく母子を連行します。その後、幼い娘さんひとりが、複数人の警官に聴取される場面があったことも、一審で認められています。さらに警察は、公園でAさんに詰め寄ってきた男に、Aさんの住所など、個人情報を伝達しました。ところが一審判決は、警察の行動の違法性を認めませんでした

控訴審の第一回口頭弁論では、Aさんが意見陳述し、恐怖にとりつかれた娘さんが治療中であることなど、被害が今も続いていることを訴えました。

「日本では私たちは外国人であるという理由で、このようなひどいことをされ、不公平な扱いを受け続けるのでしょうか」
「日本の法律は、日本人の保護のためだけにあるのでしょうか?外国人は日本の法律に基づいて保護されたり公平な権利を有したりしていないのでしょうか?」

後藤健裁判長は、警察が母子に同行を求め、子どもにも複数回に渡って事情聴取をしたこと、写真を撮ったことなどを、「なんのためにやったのか、必要性が整理されていない」とし、これが刑事事件に関連する聴取ではないことを確認した上で、法的根拠は何か、なぜ適法なのか、“同意”があればなんでもいいのか(Aさんは警察の行為に同意していないと主張しています)、などを整理するよう都側に求めました。

警察の一連の行為はなぜ行われたのか、という点はもちろんのこと、この事件が人種差別に基づく深刻な被害であることが裁判でも認められるのか、注視していきたいと思います。

Writerこの記事を書いたのは
Writer
フォトジャーナリスト安田菜津紀Natsuki Yasuda

1987年神奈川県生まれ。認定NPO法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)フォトジャーナリスト。同団体の副代表。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『国籍と遺書、兄への手紙 ルーツを巡る旅の先に』(ヘウレーカ)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

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(2024.11.15 / 安田菜津紀 )

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