「憎悪のピラミッド」という概念図について
date2023.11.29
categoryお知らせ
日常の先入観・偏見からいかに差別が生まれ、ジェノサイドへと至るかということを端的に説明する概念図、「憎悪のピラミッド」は、あらゆる差別に普遍的に適用するならば、ジェノサイドというものが日常と地続きであるということを示すとともに、自らや、自らの属する社会の立ち位置を自覚し、熟慮していくためにとても有用なものだと思います。
弊会記事でも度々引用するとともに、深刻化する日常の差別や排除に警鐘を鳴らしてまいりました。
本概念図はアメリカの団体、「The Anti-Defamation League」などにより制作されたものですが、こうした概念は本来、ホロコーストや、ルワンダにおける虐殺など、歴史上の悲劇から学び、二度と同じ過ちを繰り返さないために人類全体へと継承を鳴らすものだと理解しています。
現在、上記団体ホームページには、「We Stand With Israel(我々はイスラエルと共にある)」という文言とともに、国連およびその加盟国に対し、ハマスにより拉致された人質の解放を求める声明が掲載されています。
もちろん、本年(2023年)10月7日にハマスにより行われた凄惨な行為は許されるものではありません。最大限の非難がなされるべきであり、責任を問われています。しかし、その行為にいたる歴史的な背景やイスラエル—パレスチナ間の権力勾配、国際法違反の占領状態を無視した単純な二元論などにより、イスラエルという国家の行為を見過ごすわけにはいきません。いかに「自衛」を強調しようとも、イスラエルによるガザ侵攻が、無差別な市民の殺戮であり、属性に基づいた差別の延長線上のジェノサイドであるということは、今や多くの目に明らかです。
そうした点に踏み込まず、上記メッセージのみを提示する「The Anti-Defamation League」に抗議するとともに、国際秩序の要としての「人権」に立ち返り、「二度とジェノサイドを繰り返さない」ために、弊会もメディアNPOとしての役割に邁進いたします。