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エッセイ

2020.9.14

「心が疲れた」「なんだかしんどい」、というときに見たいアニメや絵本、本や漫画

安田 菜津紀 Natsuki Yasuda

安田 菜津紀Natsuki Yasuda

佐藤 慧 Kei Sato

佐藤 慧Kei Sato

田中 えり Eri Tanaka

田中 えりEri Tanaka

安田 菜津紀 Natsuki Yasuda

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佐藤 慧 Kei Sato

佐藤 慧Kei Sato

田中 えり Eri Tanaka

田中 えりEri Tanaka

安田 菜津紀 Natsuki Yasuda

安田 菜津紀Natsuki Yasuda

佐藤 慧 Kei Sato

佐藤 慧Kei Sato

田中 えり Eri Tanaka

田中 えりEri Tanaka

2020.9.14

エッセイ #医療・ケア #カルチャー・スポーツ #安田菜津紀

 

著名人の方の自殺が報道されたとき、悲しみとともに動揺を抱える人も少なくないのではないでしょうか。今、マスメディアの自殺報道に影響されて自殺が増える「ウェルテル効果」が懸念されています。

残念ながらセンセーショナルな報道はいまだに目立ちます。例えば先日も自殺を「よくないこと」とする発言が著名人の方からありましたが、遺された方々をさらに追い詰めてしまう可能性のある言葉だと感じます。「助けられなかった」という後ろめたさから、自らの悲しみを語りづらいという話を、私はご遺族から度々耳にしてきました。「よくないこと」というレッテルは、さらにその言葉を封じてしまうでしょう。

今、何かしらの苦しい思いを抱えている人にとって、報道が自殺という選択肢の”引き金”にならないよう、私たちは何に配慮すべきなのか。Dialogue for PeopleのYouTubeチャンネルで、荻上チキ氏がWHOの「自殺報道ガイドライン」を解説しているので、ぜひ参考にして頂ければと思います。

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報道や表現にできることは、「自殺以外の出口」を提示することや、悲しみや苦しみを抱える心を少しでも解きほぐしていくような「命綱」になれるよう努めることでしょう。ここでいくつか、私がお勧めしたい書籍や漫画、アニメや絵本をご紹介していきたいと思います。
 
 

●(短編アニメ―ション・絵本)ダム・キーパー

ロバート・コンドウさんと堤大介さんの初監督作品。「くらやみ」から街を守りながらも、いつも一人ぼっちのブタくんが主人公です。ある日、転校してきたキツネちゃんと、絵を描きながらの交流がはじまります。あの「くらやみ」はもしかすると、ブタくんの心模様だったのかもしれない、と最後にはっとさせられます。

アニメーションは20分ほどの短い映像ですが、最初と最後以外ナレーションはなく、表情や仕草だけで感情を表現しています。絵本では、その繊細な揺れ動きを言葉でも伝えています。
 
 

●(本)悲しみを生きる力に 被害者遺族からあなたへ

2000年12月、筆者である入江杏さんの妹の泰子さん、夫のみきおさん、幼かった長女のにいなちゃん、長男の礼くんが何者かに殺害され、一家の日々は一変。その後、入江さんは、悲嘆と向き合う「グリーフケア」に携わるようになります。「悲しみから目をそむけようとする社会は、実は生きることを大切にしていない社会なのではないか」という言葉が心に刻まれました。

どうしても、悲しみや痛みを「克服するべき課題」として位置づけがちですが、悲しみは悲しみとして抱きながらも、人は歩んでいけると教えてくれた本でした。

岩波ジュニア新書の本なので、小中学生から大人世代まで、幅広く読める優しい言葉で書いて下さっています。
 
 

●(漫画)こころのナース 夜野さん

自分自身が「心の病かもしれない」と思ったことがきっかけで、精神科の看護師となった夜野さんを主人公に、患者さんや、試行錯誤しながらも向き合おうとする医療従事者の心模様を描いた、水谷緑さんの漫画です。

言葉は時に、人の心を追い詰め、切り刻むほどの威力を持ちえてしまいますが、同時に、たった一つの言葉で、心が呼吸し、乗り越えられる夜があることを、この漫画が改めて教えてくれました。

(第二巻は、性的虐待などの問題を描いているため、トラウマを抱えている方は注意が必要かと思います。ただ、深刻な問題に向き合いながらも、優しいタッチの絵が寄り添ってくれ、お医者さんたちの言葉選びにも大切な投げかけが凝縮されていました。)
 
 

●(漫画)アフリカ少年が日本で育った結果

作者の星野ルネさん自らの体験を、幼少期を振り返りながら描いた漫画です。3歳でカメルーンから日本へとやってきたとき、言葉が分からず、絵を描くことでコミュニケーションをとっていたことが原体験だというルネさん。知らず知らず他者に押し付けがちな思い込みに、はっとされる場面がたくさんありますが、それをユーモアたっぷりに描き出してくれています。たくさんに気づきがありながらも、シンプルに、エネルギーをもらえる1冊です。
 
 

●(PV)ワカバ「あかり」

「いのち支える(自殺対策)プロジェクト」キャンペーンソングでもあった、ワカバの「あかり」。声をあげられないのはあなたのせいではない、というメッセージを発しながら、「どうか、どうか、消えないで」と伝えています。

このPVを見ると、あるとき目にした、自殺対策のポスターの言葉を思い出すのです。「弱かったのは、個人でなく、社会の支えでした」。
 
 


今、苦しい、生きづらい、という方へ。24時間無料で相談できる、よりそいホットラインです。電話、FAX、チャットやSNSによる相談情報も。
 

また、自殺対策に取り組むNPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」が、2021年2月6日から新しい電話相談システム「#いのちSOS」を開設しました。窓口は年中無休で、相談員約70人が12:00~22:00に受け付ける態勢でスタートし、将来的には24時間対応を目指すとのことです。電話番号(0120)061338は、「おもいささえる」で覚えておくと安心です。
https://www.lifelink.or.jp/inochisos/

※電話が繋がりにくい場合、下記、都道府県別相談窓口一覧(いのち支える 自殺総合対策推進センター)もご参照ください。
https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php
 
 

最後に、漫画やアニメ、書籍などの紹介をしてきましたが、生きるのに疲れたとき、表現者の一人として少しでもほっとできるような写真を分かち合えたら、と思っています。
 

 

(2020.7/写真・文 安田菜津紀)
※本記事はCOMEMOの記事を一部加筆修正し、転載したものです。
※2021.2.6 「#いのちSOS」の情報を追記しました。

【支援・相談窓口/参照リンク】

▶︎ 自殺対策支援センターライフリンク
「生き心地の良い社会」の実現をめざし、自殺対策、「いのちへの支援」に取り組んでいるNPOです。☎︎電話相談窓口「#いのちSOS」はこちらから(リンク

▶︎ 電話相談等を行っている団体一覧(厚生労働省HP)

▶︎ SNS相談等を行っている団体一覧(厚生労働省HP) 

 


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連載「悲しみと共に生きる」  (※記事は順次更新して参ります)

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2020.9.14

エッセイ #医療・ケア #カルチャー・スポーツ #安田菜津紀