本音と配慮の両立 / D4Pメディア発信者集中講座2022課題作品 西田菜緒
date2022.9.27
categoryD4Pメディア発信者集中講座2022
私が本講座に参加しようと思ったきっかけは、報道の受け手に当事者意識を持ってもらうにはどのような発信をする必要があるのか考えたいと思ったからだ。これは、今まで私がお話を聞かせて頂いた方が共通して、多くの人に課題を自分ごととして捉えてほしいと仰っていたからだ。しかしいざ講座に参加してみると、未だ自分は他人の当事者意識について考える土俵にいないのではないかと感じた。というのも、まず自分自身の取材相手との向き合い方から見直す必要があると痛感したからだ。
私は「取材相手を不快な気持ちにしたらどうしよう、傷つけたらどうしよう」と無意識に考えすぎてしまうところがある。この臆病さが行き過ぎて相手と本音で話したり、時に衝突したりすることを避ける傾向にあった。こうした傾向は取材だけではなく普段の人間関係においても言えることであり、就活をしていて感じることでもある。この臆病さは元々自覚していたものではなく、講座の受講を通して言語化されたものだ。きっかけは複数あるが、特に印象的だったのは小川たまかさんの、(性犯罪の被害者の方への)取材をすると必ず相手に傷を与えてしまうというお話だった。
「傷つけたらどうしよう」という自身の捉え方がそもそも論点のずれたものであると感じた。取材を受けて下さる時点で、相手は覚悟を持って時間もコストも割いて下さっている。だからこそ取材する側も腹を割って向き合う義務がある。
取材を通して相手の心に踏み入る以上、相手の心的負担を軽くする努力を最大限行う必要がある。そのためには相手が何に嬉しいと感じるのか、悲しいと感じるのかを知ろうとしなければ始まらない。当然、その過程で相手が触れてほしくない部分に触れてしまうかもしれない。改めて、取材をするということはこうしたリスクを相手に負わせる可能性があるものだと痛感した。同時に、それでもなお自分が当事者に聞きたいと思うことは何なのか、自身の興味関心はどこにあるのか見直そうと思った。
今回の受講を経て、取材が人と人との対話であることを再度認識することができた。対話をする上では、相手への配慮と本音の両方を持ち合わせる必要があると感じた。取材が対話である以上、まずは身近な日々の周囲の人との対話の在り方から見直そうと思う。
本音と配慮の両立
講座に参加する以前と以後では、自身の取材への意識が大きく変わったように思う。以前は読み手にどうしたら当事者意識を抱いてもらえるのか考える機会が多かった。もちろんこの視点も重要だ。しかし、そもそも自分自身がきちんと取材相手と向き合うことが出来ていたのか講座を通して再考した。「取材は対話である」と言葉では分かっていても、いざ実践することは容易ではない。課題執筆を通して自身の内面を言語化したことで今後の課題を認識できた。▶︎形式:レポート課題
▶︎対象:自分と同じように記者を目指す若者
▶︎制作:西田菜緒
- こちらは、D4Pメディア発信者集中講座2022の参加者課題作品です。全国各地から参加した若者世代(18~25歳)に講座の締めくくりとして、自身の気になるテーマについて、それを他者に伝える作品を提出していただきました。