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【イベントレポート】「『BABAGANOUJ PROJECT 2019』~武器ではなく楽器をその手に~ KICK OFF LIVE & TALK」(2019.8.18)

2016年にヨルダンの難民キャンプで避難生活を続けるシリアの人々を訪れたSUGIZOさんを中心に、NGO職員の斉藤亮平さん(JIM-NET)、フォトジャーナリストの佐藤慧(Dialogue for People)と共に結成された『ババガヌージュ』。これまでヨルダン、パレスチナなどで活動し、今年の9月末から10月にかけ、イラクとヨルダンで音楽交流活動を予定しています。
現在このプロジェクトの活動費を募るクラウドファンディングを実施しており、8月18日にキックオフイベントが南青山MANDALAにて開催されました。

静寂に包まれた会場でSUGIZOさんが弾く美しいヴァイオリンの調べが鳴り響く。演奏されたのは、「Rest in Peace & Fly away」。
この曲をレコーディングしている真っ只中で、9.11同時多発テロが起きたそうです。

そして現在も中東での取材を続ける佐藤が中東に関心をもったのは、この事件がきっかけだったといいます。
「9.11の事件をニュースでみて、中東の人たちは悪者なのか、と疑問に思った。誰かを悪魔だと呼ぶことで、その先を考えることをやめてしまっているのではないか、と感じた」。

昔から中東にロマンを感じていたというSUGIZOさんは、現在の中東や世界の情勢について、
「”正義”は、見る目線によって変わる。イラクやシリアなどで暮らしている人たちと触れると、皆平和を求めていて本当にフレンドリー。でも、権力によって支配され、”正義”が都合の良いように使われていると感じる」
と話します。

『BABAGANOUJ PROJECT』について、佐藤はこう語ります。

「日本の国内にもいろんな問題がある中でなぜ海外の支援をやるのか、と言われることがありますが、僕は人との縁だと思っています。出会った人の中で、苦しんでいる人がいて、自分たちにできることが何かあれば、やればいいのではないか。ババガヌージュは、頂いたご縁の中でやっているプロジェクトです」。
佐藤がシリア北部で軍事訓練を受ける女性たちを取材したとき、彼女たちが銃を持ち戦う理由について、「愛する人、家族を守るため」という答えが返ってきたそうです。

BABAGANOUJ PROJECTが掲げるキャッチコピーである、「武器ではなく、楽器をその手に」。このキャッチコピーには、大切なものを守るために、銃をもたない方向や対話にどうすればつなげていくことができるのか、という思いが込められています。

一年の半分をイラクで過ごし活動している、JIM-NETの職員・斉藤さんからは、中東の料理の写真や現地での活動の写真を通し、現在のイラクについてお話いただきました。美味しそうな中東の料理の話を聞き、会場も思わず和やかな空気に。
また、イラク戦争が遺した今もなお続く被害や現状についても語られました。

「2003年のイラク戦争で多くの民間人が犠牲になりました。そして2014年には、ISによってイラク戦争と同じほどの数の民間人が犠牲になり、治安が安定していない状況が続いています。戦争が終わったからといって、決して全てが終わったわけではないのです。」

なかなか耳にすることのないリアルな現地の状況の話を、参加者の方々は熱心に聞き入っていました。

これまでのババガヌージュの活動について、SUGIZOさんにとって初めての難民キャンプ訪問となった、ヨルダン・アズラック難民キャンプでの出来事が語られました。

「初めて訪れた難民キャンプで演奏したとき、子どもたちにすごく勢いがあって、みんな本当にキラキラした瞳で駆け寄ってきてくれたんです。日本から来た客人を全霊で歓迎してくれる子どもたちも大人たちも本当に印象的でした。こうした様子から、想像以上に楽しみに飢えているということを感じました」。

また、同じくヨルダンのザータリ難民キャンプを訪れたときには、アズラック難民キャンプと対照的に、女性たちの姿が印象的だったと話します。
男性がいたり催しものがあるときなど、人前ではおしとやかで一歩下がるような気風がある中東の女性たち。こうした女性たちが、ライヴが始まると思い思いに楽しみ盛り上がる様子に驚き、普段女性たちが表現をする場がないということを痛感したそうです。
このとき感じた「絶対にまた戻ってきてここでライヴをやりたい、みんなに思う存分に踊ってもらえるレイヴをやりたい」という思いをもって、今回中東の国々を再訪し実現できたら、といいます。

さらに、今年のプロジェクトで予定している活動について紹介されました。

まず、9月末から訪れるイラクでは、大学やダラシャクラン難民キャンプなどを訪問し、大学の活動では、「音楽が好きな若者たちがたくさんいるなかで、イラクと日本だと文化的に遠いような気がするが、同じ空間で一緒に楽しむことができないか」と考えているそうです。また、ババガヌージュとともに『COSMIC DANCE QUARTET』(※1)も現地で活動することを予定しているといいます。
そして、10月初めからはヨルダンへ移動し、ザータリ難民キャンプの訪問を予定。「ザータリ難民キャンプ内の学校をババガヌージュで訪問し、ライブではなく、音楽を通して子どもたちと交流できたら」と話します。

イベントの最後には、これまで中東の難民キャンプの演奏を中心に活動してきたババガヌージュが、初めて日本で演奏を披露しました。
波の音や子どもたちの声とともに三人が奏でる音が響きあう曲、「The Voyage Home」。
この曲について、SUGIZOさんは
「アンマンでのシリア人難民の方々を訪問しているときに生まれた曲。もともとシリア人を想って生まれた曲だけれど、愛情が大きくなり、すべての故郷を追われている人たちがいつか安心した生活を取り戻せますように、という祈りの曲に成長してきた」
と話します。

最後に、SUGIZOさんから、BABAGANOUJ PROJECTへの想いが語られました。

「今回初めてクラウドファンディングでプロジェクトの資金を集めています。はじめはお金を募ることに不安や戸惑いもあったのですが、蓋をあけてみたら、たくさんの皆さんが応援してくれていることがわかって、そのあたたかみを心底感じました。皆さんと一緒にプロジェクトをすすめている感覚が本当に嬉しい。協力いただいた皆さんの想いを現地に届けてきます」。

『BABAGANOUJ PROJECT 2019』では、引き続きご支援を募集しています。
皆様のご支援、ご協力、よろしくお願いいたします。

(2019.8.22/文 Dialogue for People事務局 大橋)
(写真 安田菜津紀)

(※1) 『COSMIC DANCE QUARTET』…SUGIZO氏のソロプロジェクト


クラウドファンディングご支援のお願い

現在、SUGIZO氏NPO法人JIM-NET認定NPO法人国境なき子どもたち、Dialogue for People協働による「BABAGANOUJ PROJECT 2019 中東音楽交流」のご支援を募集しております!
詳しくはこちらをご覧ください!!

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