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【熊本地震】水銀ヘドロ埋立地で液状化、県は調査中―被災で水俣病手帳紛失でも医療機関受診可能と呼びかけも

手前に「工事中につき 全面通行止」と書かれた黄色の看板が立ち、奥の道路全体に青いシートが敷き詰められた市道の様子
液状化を受け、通行止めになっているエコパーク水俣に隣接する市道。(2026年8月7日撮影)

7月28日に発生した熊本地震で、水俣市は震度5強の揺れに見舞われ、「エコパーク水俣」では一部で液状化が確認された。水俣湾内の水銀ヘドロを浚渫(しゅんせつ)した埋め立て地は約58ヘクタールに及び、そのうち41.8ヘクタールがこの「エコパーク水俣」だ。園内にはソフトボール場などのスポーツ施設も備えられている。

1932年から、チッソは有機水銀(メチル水銀化合物)を含んだ排水を海へ流し始め、水俣病を引き起こした。ヘドロや汚染魚の詰まったドラム缶を、鋼板で囲み土砂で覆うなどの埋め立て工事は1977年から開始され、1990年に完成した。

老朽化による影響や地震による液状化のリスクは以前から指摘されていた。県水俣湾公害防止事業の事業所長も務めた小松聰明さんはかつて、「水俣湾の埋め立てを検討するメンバーに地震の専門家はいなかった」「人間が作ったものに絶対はない。埋立地も、阪神大震災並みの地震が起きたらどうなるか」と警鐘を鳴らしていた1

2015年、「水俣湾公害防止事業埋立地護岸等耐震及び老朽化対策検討委員会」の見解を受け、県港湾課では埋立地について、「適切な管理」を続けていくことにより、当初の耐用年数50年を超えても継続使用できるとの見解を示していた。地震後の現在も見解に変わりはないという。

県は今回の地震で噴出した泥を検査するとしている。現時点で河川や海への汚泥の流出は確認されていない。

地面に青いシートが敷かれ、三角コーンが点在しているエコパーク水俣隣接の市道
液状化を受け、通行止めになっているエコパーク水俣に隣接する市道。(2026年8月7日撮影)

熊本県の公式サイトでは、熊本地震により、水俣病認定申請者医療手帳を紛失あるいは自宅に残したまま避難した場合であっても、医療機関等で、水俣病認定申請者医療手帳の対象者であることの申し出、氏名、生年月日、連絡先、住所等を申し立て、受診できるとしている。

水俣病は体内に取り込まれたメチル水銀が脳など中枢神経脳に障害を起こす公害病だ。水俣病センター相思社の永野三智さんは、「ケガをしても痛みが分からず放置してしまい、悪化させ重症化する方もいます。治療をやめたり薬が切れたりすると、当然に症状はひどくなります」と指摘する。

また、いまだはびこる「無関心」や差別への恐れから、周囲に自身が水俣病であることを言えない被災者もいるのではないかと懸念。「水俣病患者たちが、どうかご自宅、庭先、車内、小さなグループ、避難所での症状のつらさを、少しでも逃しながら、少しでも楽に過ごせますよう。いままで通り、医療につながれますように」と呼びかけた。

  1. 2006年4月22日北海道新聞/2007年2月6日毎日新聞 ↩︎
Writerこの記事を書いたのは
Writer
フォトジャーナリスト安田菜津紀Natsuki Yasuda

1987年神奈川県生まれ。認定NPO法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)フォトジャーナリスト。同団体の副代表。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『国籍と遺書、兄への手紙 ルーツを巡る旅の先に』(ヘウレーカ)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

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